救世主募集中!
救世主とは、RPGの世界における主人公であり、プレイヤーが演じるキャラクターのことです。
初期のロールプレイングゲームでは、モンスターとの戦闘により、経験値を取得することにより成長します。
そして、そのスタイルは現在でも、相変わらず主流となっています。
よって、より偉大な救世主とは、いかにモンスター共を殺したかで決まります。
もちろん、相手のモンスター権や生存権などというものは、救世主は一切認めません。
ちなみに、「殺す」という言葉は良くないからと、メッセージでは「倒した」とか「やっつけた」を用いたりもします。
さらに、ひねって「気絶させた」、「改心させた」といったものも見受けられますが、もちろん殺していることに、なんら変わりはありません。
つまり、救世主とは、悪の魔王を倒すため、という身勝手な大義名分を旗印とし、目の前に立ちふさがるものは、理由はどうあれ殺しまくる、人生をとても楽しく生きている殺戮者であるともいえます。
さらに言えば、救世主は人格破綻者でもあります。
町の外では殺人鬼、一歩町に入れば誰からも慕われる英雄として過ごさなければなりません。
西に病に倒れた老人がいれば、山に薬草を取りに行き、東に指輪を無くした婦人がいれば、これまた魔王退治とは関係なくても、湖まで探しに行く。
その途中で立ち寄った村で、盗賊団の被害を受けて苦しんでいる者があれば、そのアジトまで出向いて退治し・・・
ただ、そのリーダーと意気投合、仲間にスカウトしたりも日常茶飯事です。
賊のリーダーはもともと無法な殺戮者であり、救世主の素質が十分なのは言うまでもありません。
町の中では天使、外では殺戮者、これは救世主の絶対条件です。
更に救世主は、あらかじめ王様から前受金を貰うケースもありますが、基本的に無報酬です。
一日あたりモンスター300匹殺したので、日当15,000円を王様から貰うという事は無いのです。
しかし、その代わりとして、殺戮したモンスターの所持している金銀財宝は、救世主のものとなり、その全ての所有権を主張する事が許されています。
まさに救世主の通った後には、身ぐるみ剥がされたモンスターの死屍累々とした死体の山が築かれています。
しかし、救世主は殺したモンスターが、けなげに隠し持っていた、なけなしの「ヒノキの棒」を取り上げると「ちっ、しけてやがるぜ!」と、つぶやきながら、また次のターゲットに狙いを定め、辺りを徘徊するのです。
のんびりと、毎日毎日そのような行為を、ひたすら繰り返します。
しかし、あわてることは全くありません。
魔王は、救世主が立派に成長するまで待っていてくれるのだから・・・
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