宝箱の中身は?
誰が置いたのかは分かりませんが、この世界には無数の宝箱が存在します。
中に何が入っているのか、非常に気になるものです。
薬草や、棍棒などといった安価なものが、さも大事そうに入っていることもあります。
これで、宝箱とは・・・
宝箱を手に入れようと、立ちふさがるモンスターを皆殺しにしてきた救世主の落胆は、計り知れません。
これは、要するにこの箱自体が宝と言うことなのでしょう。
この箱を、その場所から持ち去って、道具屋に売ったほうが中身の品物よりも、よほど高く売れそうです。
また、宝箱の中には、しばらくたってから再び蓋を開けてみると、なぜか宝物が再度入っていることもあります。
これは、宝箱を開けた救世主が遠くに移動している間に、他のモンスターが、宝物を入れているに違いありません。
救世主にとっては、カスみたいなアイテムでも、持ち主のモンスターにとっては立派な宝物なのです。
また、宝箱のふりをして実はモンスターだったりする奴もいます。
救世主が「お宝いただき!」と、中を覗きこんだ瞬間、頭からがぶりと噛みついてきます。
こんなのを食らったら、さすがの救世主もたまったものではありません。
宝に目がくらんだ自分の愚かさを後悔しながら、喰われるしかありません。
救世主を天国から一転、奈落の底に突き落としてくれる、これぞ、モンスターの鏡。
他のモンスターも、この卑劣な手口を見習って欲しいものです。
また、ごくまれに伝説の剣などが中に入っていたりもします。
魔王が立てこもっているダンジョンの、奥深くにある宝箱に入っていたりすると、誰が中に入れたのか少し気になります。
前に救世主だった人物が持っていたが魔王の手前で遂に力尽き、死ぬ寸前に宝箱に隠したのか、はたまた、魔王の手下が表向きは魔王に忠誠を誓いつつも内心はその逆で、いつか魔王を倒しに来るであろう救世主に力を貸すために、隠したのかもしれません。
魔王がいなくなって、一番せいせいするのは案外と、彼らだったりするでしょうから。
ところで、救世主が魔王の前に訪れると、魔王は実に嬉しそうです。
「わはははは!」と豪快に笑ったかと思えば、「よくぞここまで来た!その勇気ほめてやる」、などとペラペラしゃべり出し、待ってましたと大歓迎してくれます。
さらに、救世主に一回負けると変身し、真の正体を表したりと、余程暇だったのか?、実に手の込んだことを企画しています。
そう考えると、最強の剣を隠したのは、魔王自身かもしれません。
救世主にあえて最強の武器を与えて勝負をさせ、それを打ち負かすことで救世主に絶望を与え、その苦悩にあえぐ姿を目の当たりにすることで、快楽を得る。
全知全能、万能すぎる魔王には、それが唯一の楽しみなのかもしれません。
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